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クリスマスの夜に【後編】


この話の続き。
見ていない方はこちらからご覧ください。↓
クリスマスの夜に【前編】




一週間が経った。あれから、ミサとトオルの距離はだんだん狭まっていった。
しかし、ミサには気がかりな点があった。


それは、トオルが自分のことを全く話してくれないことだ。
家族構成、職業など。それに必ず夜の20時には、帰ってしまう。
彼は、次の待ち合わせ場所と時間を口頭で告げると、足早に去っていく。
携帯はもっていないらしく、会う以外でコミュニケーションをとることができない。


会ったときは、ミサのことを1番に考えてくれるし、
いわゆる恋人らしいことをしてくれる。
優しくてかっこいい。理想の彼氏像ではあるものの、どこか穴が開いたような気分になる。
もっと彼のことを知りたい。謎が多すぎる関係。
これが従来の恋人関係なのかと思うと少し疑問だ。


ミサは、トオルと別れた後、彼の後を追ってみることにした。
トオルは、ミサとの出会いの場でもある、古い建物に消えていった。

一体あそこで何が行われているというのか。


トオルのことが気になって仕方がない。
なんせ初めての彼氏である。

完全に初めてのボーイフレンドに夢中になっていた。



冬の公園。
ベンチに腰掛けてミサは口を開いた。

「ねぇ、なんだか寂しい。」
毎日会っているうちに距離は縮まってきてはいるものの、
心のどこかに開いている穴のふさぎ方が分からない。



「寂しい?なんで?こうして毎日会ってる。」
トオルはミサの目をまっすぐに見据えて答えた。
その瞳はなんだか、冷たかった。


「はは、なんだよ。俺は好きだよ、ミサのこと。」
トオルはミサの手に自分の手を重ねた。


「だってトオル何も教えてくれない。いつも私ばっかり自分のこと話してて...」


そうミサが口を尖らせて言うと、トオルは少し困り顔で笑った。

「あんまり自分のことしゃべると感情移入...」


「え?..」


「はは、なんでもない。謎が多い男って魅力的じゃない?俺はミサのことがもっと知りたいと思う。だから聞いちゃう。」


「私もトオルのこと知りたい。」


「ねぇ、そんなに俺のこと知りたいの?例えばどんなこと?」
ミサの顔を覗き込むようにトオルは聞いた。


「えっと...趣味とか、家族構成とか?あと、なんで首にスイッチがついているか...」


「このスイッチを押せば、俺は眠る。再びスイッチを押さない限り再び目を覚ますことはない。」


「あなたは...人間?」


「人間だよ。あったかいでしょ?」
トオルはミサの肩を抱き寄せた。


「じゃあなんでスイッチついてんの.....。」


「ミサ、これ見て?」
トオルはボタンのようなものを取り出した。
それは、トオルの首についているソレだった。


「なにこれ。」

「これを首に当ててみると、一瞬の電流と共に、俺みたいになる。その代わり、俺の首のスイッチは外れる。」


「へ....へぇ。なんか、、、すごいね。」


「これをミサがつけたら、俺はミサの言う、人間になる。でも君は人間じゃなくなる。なんてね。」


「ねぇ、それつけるとどんな気分になるの?」


「気分というより...全てが分かるよ。俺たちの関係のことも含めて。」


「ちょっと怖い。」
怖いけど、知りたい。


「これは連鎖なんだ。君がこれをつけた瞬間、俺のモノは外れる。君が、俺についていたソレを他の誰かにつけてもらえば君のモノは外れる...。人間じゃなくなるなんて、一時的なものだよ。それに、これを付けたからと言って、俺たちの関係は変わらない。」


静かな公園に、木々の揺れる音が響き渡る。


ミサは、そっとスイッチを首につけた。


首に鋭い電流が走る。
気がついたらミサは狭い部屋に横たわっていた。

暗い。埃っぽい。


「目が覚めたかい?」
声のする方に首を傾けると、あの老婆がいた。


「あなたは...」


「つけたんだね、首に。」


首を触ると、スイッチがあった。

「あんたは充電式の人間型ロボットになっちまったんだ。21時までに充電しないと、あんた、死ぬよ?」


トオルが毎日20時には帰っていた光景が思い浮かぶ。

「悪いけど、充電器はここにしかないんだ。必ず夜にはここに帰らなきゃね。特に恋人代行を行う以外は私の言う事を基本的に何でも聞いてもらうことにしてる。奴隷生活だよ、はっはっは!さっそくだけど、肩をもんでもらえるかい?」


「...はい。」
ミサは老婆の肩をもんだ。
力を込めて、痛がらせることもできるだろうけど、それをしてしまったら自分の命に保証はない。


「こんな生活が嫌なら、あんたのスカートのポケットに入ってるソレを他の2人につけるんだ。そうしたら開放される。トオルはアンタが二人目だった。だから開放された。今は何やってるか知らないけど、まぁ想像つくよ。彼はね、元はホストでね。今頃、女あそびでもしてるんじゃないかね。」


「え...そんなはずない!!」


「おやまぁ。アンタはここに来て5日になるけど、トオルは一度も顔を見せてないよ?利用されただけだよ。」


利用されただけだよ....老婆の声が反復する。
涙が溢れてきた。絶望。暗い闇の中にミサの心は沈んでいった。


「悔しいだろう?だったらあんたもさっさと2人にソレつけて、開放されて、仕返しでもしたら?」


「....はい。」


-----------------------------------------------------------


「ミサ、出番。」


「はい。」
ミサは一直線に進んだ。渦巻く欲望と共に。



扉を開けるとミサは、不安げな顔をした制服を着た青年に話しかけた。
「こんばんは、私ミサです。今日からあなたの彼女になります、よろしくね!」



END





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No title

こんばんわ

悲恋系だと思っていたら連鎖系のお話ですか~
昔一度手を出したものの、上手いオチがつけれ無くて諦めたジャンルです
得意分野がグデグデ系の私にすれば、ちゃんと完結できるもはとても羨ましい限りです

No title

ねずみ講(笑)老婆、やり手ですね。

Re: No title

>もっさん

もっさんも小説家ですもんね!w
実はこれ、高校生の時につくったんです。
今はここまで発想広げられるか微妙です(笑)

Re: No title

>たちゅまるさん

そう...これは無限の連鎖なのです...。
老婆は神になります。
プロフィール

B.りっちー

Author:B.りっちー
多趣味女子大学生。
最後の学生生活でできることってなんだろう。
ぶっとんだことしてみたい。
バカなことしてみたい(´゚д゚`)


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