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クリスマスの夜に【前編】

※この物語はフィクションです。





アルバイトが終わったミサは、ボーっとしながら帰り道を歩いていた。

コンビニの前でサンタのコスプレをした人たちがケーキを売っている。
サラリーマンのおじさんが照れくさそうにケーキを受け取っていた。
家族にでも買って帰るのだろうか。

街中を見渡す限り、2人組であふれかえっている。

そう、今日は---クリスマスイブだ。






イブにアルバイトなんて味気ない。
でも何もしないよりは何かしていたい。
そんな思いでアルバイトのシフト入れたが、失敗だった。


ミサの働く飲食店の店内はカップルで賑わっていた。

「(まぁそうなるよね…。)」


18歳のミサ。彼氏は18年いない。
同じグループのメンバーが着々と彼氏を作っていく中、
自分だけが恋人を作れないことに焦りを感じていた。

「リア充爆発しろ!!!」

そんなミサの気持ちにお構いなしで、友達は彼氏自慢、いわゆる「惚気(のろけ)」をしてくる。


「へぇ、優しい彼氏さんだね。」
と言いながらも心の中では、
「リア充爆発しろ!!!」
「リア充爆発しろ!!!」
と呪文のように唱えていた。


彼氏は欲しい。でも、良いと思う人が全くいない。
いつか、いつか自分にふさわしい人が現れると信じてはいるものの、その「いつか」が来る気配はまるでない。
自分に恋愛は一生できないのではないだろうか。、とさえ思い始めていた。


アルバイト中にもカップル。
夜の街にもカップル。
「ゴキブリのように沸いてきやがる...。」


カップルの結ばれた手を空手チョップでほどき、男女にそれぞれ一発ずつビンタを食らわした。

もちろんこれはミサの想像の話である。


「どこにも行かないで家でのんびり過ごしてた方が良かったかなぁ。」

ミサは空を見上げるように視線を上にずらした。
夜9時の空。街中は明るいのに星は綺麗に見えた。
男は星の数ほどいるのに、なんで私には出会いがないんだろう。


『カラン...』
よそ見をしていたせいか、空き缶を蹴飛ばしてしまった。
空き缶が転がっていった先には、細い道があった。


「(こんなところに道なんてあったっけ...)」



アルバイト帰り。
同じ帰り道を2年間も歩いているのにも関わらず、
こんな道があることに気がつかなかった。


細い道を進んでみると、古びた木造の建物が見えた。
店の前には看板があり、「恋人あります」と黒い文字で書いてある。


「(お店…?)」
胡散臭い看板に少し警戒しつつも、中に足を踏み入れてみる。



店にしては、中は暗く、そしてガランとしていて人の気配が感じられない。
奥に小さなドアが1つあるだけである。
しかし、恋人ありますとはどういうことなのだろうか。
イケメンのお兄さんが出迎えてくれてハグでもしてくれるというのか。

「はは、バカらしい。」


来た道を戻ろうと踵を返したその時。


「おねぇさん、ひとり?」


ビックリして振り返ると声の主は老婆だった。
奥の扉の前に立ち、不敵な笑みを浮かべている。
さっきまで人の気配がなかったのに...
ミサは気味の悪さに恐怖を感じた。


「いや!えっと…友達とこれから会う約束があって...」
ミサはとっさに嘘をついた。


「それを聞いてるんじゃない。あんたは今、ヒトリなのかを聞いてるんだよ。」



「…。」


「店の看板を見て、ここに入ってきたんじゃないの?」


少し間をおいてようやく理解した。
この、おばあさんは私に彼氏がいるのかを聞いているのだ。



「まぁ...ヒトリですけど…。」


「この扉の奥に、あんたの理想の恋人がいるっていったら信じる?」


「え?...」


「まぁ信じられないのも無理はないかもね。けど本当のことしか言わないよ。興味があるならついてきな。」


ミサは好奇心に負けて、老婆についていくことにした。
「...(なんかあったらすぐ逃げればいいだけだし。)」

小さな扉が開かれる。中は埃っぽかった。
狭い部屋。


そこには、端正な顔立ちの青年が倒れていた。

「言っとくけど、死んでないよ。」


「眠ってる?...」


「そう。起こしてやっておくれよ。首にボタンがついてるでしょ?それを押すんだ。」


ロボットなのだろうか。
ミサは首についているボタンを押した。
『カチ...』



「あなたは...」
青年は目を開いた。


驚いて固まるミサに代わり、老婆は口を開いた。

「あんたの彼女。」

「あなたが俺の...よろしくお願いします。トオルです。」

青年は笑みを浮かべると、いきなり握手を求めてきた。
同い年くらいだろうか。まあなんとよくできたロボットだ。


「あぁ…こんばんは。」
恐る恐るトオルの手を握り返す。
トオルの手は、あたたかかった。



「金はいらない。恋ってのは金で買うもんじゃないからね。それじゃお幸せに。とっとと出ていきな。」

老婆に、店の外に追いだされる。


「さ、じゃあ早速デートしよっか?」


ミサの頭は混乱していた。
「ごめんなさい、私何が何だか…あなたは…」


「トオル。さっき紹介したよね?俺のことは、トオルでいいよ。」


「はぁ…。」
そもそも、この人..いや、人と言っていいんだろうか。
首にボタンがついていること自体、意味が分からない。
レンタル彼氏なんてのが流行っているが、それとはまたちょっと違う気がするのだ。


「幽霊とか超能力とか訳わかんないこととか君は信じる?いきなり俺が君の目の前に現れて恋人ですなんてビックリだよね。でも、それは君の価値観だよ。こんなことが普通に起こる世界だってあるんだ。この経験を通して、君は新しい価値観を手に入れる..。一つ言えること、それは、今君と俺はカップルだってこと。あまり深く考えずにこの現実を受け入れてみない?」

トオルは私の手を取ると、古びた建物を後にした。


後編はこちら↓
クリスマスの夜に【後編】









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プロフィール

B.りっちー

Author:B.りっちー
多趣味女子大学生。
最後の学生生活でできることってなんだろう。
ぶっとんだことしてみたい。
バカなことしてみたい(´゚д゚`)


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